一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-1-08] 匿名診療等関連情報を用いた都道府県における循環器病対策の指標策定に関する検討

*岡田 佳築1,2、彦惣 俊吾2、坂田 泰史2 (1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学, 2. 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)

DPC, Cardiovascular Disease, Health Policy

【背景】 厚生労働省が有するDPCデータは、全国の対象病院から収集される悉皆性の高いデータであり、匿名診療等関連情報の集計表情報として提供されている。また、各都道府県では医療計画の内容も踏まえた、都道府県循環器病対策推進計画及び関連指標の検討・設定が進められている。 【目的】 都道府県の循環器病対策に関する指標の策定における、匿名診療等関連情報利活用について検討を行う。 【方法】 医療計画に記載がある、急性心筋梗塞、心不全、急性大動脈疾患について、2014~2018年度の各都道府県の入院患者数と転記情報、関連手術・処置である、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術、大血管手術、心大血管疾患リハビリテーションの実施件数の集計表情報の提供を受け、各疾患の都道府県単位の院内死亡率および各手術・処置の実施件数と入院死亡率との関連を線形回帰にて評価した。 【結果】 提供を受けた5年間全体の、急性心筋梗塞、心不全、急性大動脈疾患の都道府県単位の院内死亡率については、それぞれ平均(標準偏差)15.6(3.5)%、14.4(2.5)%、26.2(4.4)%であり、手技・処置との関連については、急性心筋梗塞では急性冠症候群に対する経皮的冠動脈インターベンションが、心不全については心大血管疾患リハビリテーションが、急性大動脈疾患では大動脈瘤切除術・オープン型ステントグラフト内挿術が、都道府県単位の院内死亡率と関連していた。 【考察】 集計表情報の提供であり、患者単位での重症度等を踏まえた評価は困難であるが、悉皆性が高いデータを元に都道府県が循環器病対策を検討する上で、都道府県単位での予後に関連性が強い指標を選定し利活用する際に、匿名診療等関連情報を利用することは有用であると考えられた。(留意事項:提供を受けた匿名診療等関連情報を基に作成した結果であり、厚生労働省が作成・公表している統計等とは異なる。)