Japan Association for Medical Informatics

[3-F-2-02] 看護記録におけるAIの活用―臨床的に意義ある看護記録の発展的活用―

*Yumiko Uto1, Takashi Iwaanakuchi1, Yasuyo Hanabaru2,1, Yutaka Uno3, Kenji Araki3, Yuki Kusano4 (1. 鹿児島大学病院 医療情報部, 2. ,鹿児島大学 看護部, 3. 日本電気株式会社 バイオメトリクス研究所, 4. 日本電気株式会社 医療ソリューション事業部門)

Nursing record, Structured Nursing Assessment, Natural Language Processing

【背景】看護記録の機能は看護実践の明示であり、患者に提供するケアの根拠となる。したがって、患者にとって臨床的に意義ある記録を残すことが求められているが、昨今の傾向として、施設がその設立要件や診療報酬上の要件を満たしていることを証明するための記録が増加の一途を辿っている。当院においては、看護記録の二次利用と記録時間の短縮に繋がる「鹿児島大学版看護計画マスタ」を2018年に開発導入し活用している。その特徴はアセスメントを構造化してケア項目と紐づけし、「何(ケア)を(提供)する」から、「何のために(ケアを提供)するのか」というデータを蓄積できるようにした。【目的】実施入力したケア項目及びアセスメント情報が、看護記録におけるAIの活用に有益であるかどうかについて検討を行ったので報告する。【方法】看護師が入力しているSOAP/IE記録、経過(経時)記録といったテキスト入力(非構造化情報)の医療自然言語処理による構造化を行い、看護計画に対する実施の記録、検査結果といった構造化済み情報と合わせてAIモデルの入力とした。これらの入力から施設基準の要件の一部である特別な栄養管理や褥瘡管理の必要性などを出力するAIモデルの学習を行った。このモデルの推論精度に与えるケア項目及びアセスメント情報の寄与を検証し、アセスメントの構造化の価値を議論する。【結果及び考察】現在、対象データを用いて検証を進めており、適宜、特許取得の申請を行いつつあるため、簡易抄録提出の締切りまでに結果の詳細を述べることができない。8月末日の詳細抄録を提出する時期までには、ある程度の報告が可能であると考える。本試行によって、有用な結果を得ることができれば、「患者にとって臨床的に意義ある記録を残す」ことが、記録間の整合性、記録のタイミング、記録内容の監査等、発展的な活用が可能となり、看護記録のスリム化に繋がると考える。