一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-2-06] ナースコール連動スマートフォンに関する障害対応と課題

*松本 かな1,3、中村 可奈1、中泉  晶子2、沼田 光哉3、伊藤 豊3、遠藤 晃3 (1. 北海道大学病院 看護部, 2. 北海道大学病院 附属司法精神医療センター, 3. 北海道大学病院 医療情報企画部)

Nurse Call, Smartphone, Troubleshooting

背景・目的:
ナースコールシステムは、患者からの呼出以外にも生体情報モニタ、HIS等と連携し患者情報の伝達手段として利用されている。近年、その受信装置としてPHSからスマートフォンへの切り替えが進んでいる。当院では、ナースコールシステム更新を機に受信装置をPHSからスマートフォンへ切り替え4年以上経過した。この間のナースコール連動スマートフォン(以下スマートフォン)に関する障害対応から、安定運用するうえでの課題について示唆を得たので報告する。
当院概要:
病院機能(特定機能病院)病床数(922床)ナースコール設置病棟(21病棟)看護師・助産師数(1084名)設置スマートフォン台数(295台)
倫理的配慮:
所属施設の審査委員会の承認を得た。
方法:
ナースコールシステムに関する2018年3月~2022年1月の障害対応記録(全219件)からスマートフォンに関する内容(94件)を抽出し、その結果を【故障】【不具合】【不適切な操作】【取扱理解不足】【制御機の問題】【不明】に分類した上で、精査。
結果:
94件中52%が交換を要する故障と不具合であった。うち半数以上がバッテリ膨張に伴う液晶画面の剥がれだった。ユーザ起因は全体の32%(スマートフォン不適切操作17%、取扱理解不足15%)、原因調査中は16%だった。
考察:
稼働台数の維持には、交換、修理を考慮し、稼働機・予備機の適数を十分検討した上での導入をはかるとともに、バッテリの劣化を踏まえた保守計画が必要と考える。意図しない設定変更等ユーザ起因の障害に対しては、操作教育の充実が必要と考える。その上で、不適切操作抑制のためMDMも効果的で有り今後導入を予定している。 多岐にわたるスマートフォンの障害に適切に対応するには、障害発生時の状況証拠を可及的速やかに収集し、多角的な調査を開始する体制を整備、維持することが重要である。