Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-02] 抗凝固薬の服薬管理と副作用発現状況の確認を目指した電子患者日誌の開発

*Rie Ozeki1,2,3, Hidemori Hayashi4, Sakiko Miyazaki4, Keita Masuda2, Tomoyuki Nakagawa5, Tomotaka Momozaki5, Naoya Ishizu5, Hiroaki Nakamura2, Hidefumi Aoyagi2, taku Asano2, Kotomi Yamada6, Toshihiko Asano6, Masayo Komoda3, Mitsue Saito1, Tohru Minamino4, Nobuyuki Komiyama2 (1. 順天堂大学医学部乳腺腫瘍学講座, 2. 聖路加国際病院循環器内科, 3. 東京理科大学薬学部, 4. 順天堂大学医学部循環器内科, 5. 東京理科大学理工学部, 6. 株式会社ソフィア)

Patient reported outcome, Patient Diary, Anticoagulant, Adherence, Adverse Event

【背景・目的】心原性脳塞栓症の予後は不良であり、発症予防目的に使用される抗凝固薬はワルファリンと新規経口抗凝固薬(DOAC)である。DOACは特定の凝固因子に対する選択的阻害作用を有するため、モニタリング不要で、出血のリスクが少ないため、管理がしやすいと考えられているが、一方でワルファリンに比べ半減期が短いため飲み忘れ時のリスク増加が懸念される。また出血の副作用のため、服薬中断が問題となっている。そこで、患者自身が服薬と体調および副作用を記録できる抗凝固薬電子患者日誌を開発し、電子患者日誌の有用性について検討した。
【方法】抗凝固薬電子患者日誌は、患者自身のスマートフォンやタブレットを用いて、WEBからアクセスするシステムであり、受診の記録、日々の記録、記録を見る画面から構成される。日々の記録の入力画面では服薬と出血の有無、血圧、体重が記録でき、記録がない場合には、メールでアラートを送る仕様とした。記録は経時的に閲覧することができ、受診の際に、情報収集ツールとして使用した。当院及び聖路加国際病院循環器内科通院中でワルファリンまたはDOACを内服中の患者100名を対象として、電子患者日誌使用群と非使用群にランダムに割り付けるクロスオーバー試験(2ヶ月)を実施した。服薬達成率、電子患者日誌に対する使用感等を調査した。
【結果・考察】解析対象患者94名(年齢中央値69歳)の抗凝固薬の服薬達成率は99%と高く、電子患者日誌使用の有無による服薬達成率に有意差は認めなかったが、薬剤によって、電子患者日誌使用の影響が異なる可能性が示された。また21名の患者より出血の報告があった。患者アンケートより、服薬記録やメールによるアラート機能に対しては高評価が得られた。今後はアンケート結果をもとに改良を行い、アドヒアランス不良の薬剤に対するアドヒアランス向上を目指す予定である。