Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-04] 機械学習を用いた院内の薬剤使用数予測の検討

*Yuki Kanayama1, Naoya Uematsu1, Atsushi Manabe1, Hiroko Nomura2, Yoshiaki Fujimura1, Noriyuki Takahashi1, Katsuhiko Ozaki1 (1. 徳洲会インフォメーションシステム株式会社, 2. 一般社団法人徳洲会 大阪本部)

Machine Learning, Time series forcasting , Covid-19

背景・目的 病院の薬剤発注業務では、過去の実績に基づき薬剤使用予定数を見積り、発注を行う。使用数の見積もりと実使用数に差が生じることにより、不足による追加発注作業の増加や過剰在庫などの問題が発生する。徳洲会グループ(以下グループ)の一部の病院では、追加発注作業を減らすために、過去の平均使用数等のデータを用いた非機械学習モデル(一般化線形モデルなど)を利用して使用予定数の予測を行っている。しかし、そのモデルでは季節やCOVID-19をはじめとする感染症の流行状況等の変動要因を考慮できず使用予定数の予測精度が低かった。本研究では予測精度を改善することを目的に、機械学習を用いた季節変動や感染症の流行状況等を考慮した薬剤使用数予測モデルを構築した。
方法 対象データ:グループが保有する徳洲会メディカルデータベース(TMD)から、グループの1病院の期間2018年1月~2021年4月の薬剤使用数に関するデータ(月毎)を取得した。そこで採用している約2400品目から上記の期間で毎月の使用実績がある180品目の薬剤データを利用した。 解析手法:過去の薬剤使用数・季節変動・COVID-19新規感染者数等の情報を利用し、XGBoost法を用いた機械学習モデルを構築した。モデルの評価には、予測値と実使用数との誤差を表す平均絶対誤差を用いた。また、提案モデルによって算出される、モデルで用いた各項目(季節変動等)の重要度分析を行い、予測への寄与率を表した。
結果・考察 平均絶対誤差では, 誤差10%以下で予測することができた薬剤数が、機械学習モデルでは63品目、非機械学習モデルでは31品目であり、機械学習が非機械学習より高い予測精度であった。重要度分析では、COVID-19新規感染者数の項目が比較的重要であることを示した。今後、より多くの時系列データを収集し、精度改善及び発注業務の負担軽減する予定である。