[3-G-2-02] PHR/EHRの大阪大学医学部附属病院での取り組み例と課題
ー 地域の薬局による阪大病院ネットの活用に向けて ー
Personal Health Record, Electric Health Record, Medical Information Bank
昨今、医療情報を取り巻く環境はめまぐるしく変化し発展しており、薬剤師が関与する場面だけでもオンライン資格確認、電子処方箋、PHR(Personal Health Record)/EHR(Electric Health Record)など新しい技術や取り組みは多岐に渡る。今回はこの中でPHR/EHRに焦点を当て、求められる機能やその実装について大阪大学医学部附属病院(以下当院)の取り組み例の紹介とともにこれらのシステムの課題や薬剤師を取り巻くシステムの未来について考察する。 当院では2017年より民間 PHRプラットフォームのひとつである医療情報銀行の構築を進めてきた。近年ではスマホ対応の在宅療養機器などのIoTデバイスも普及が進んでいる。PHRの未来はこれらのIoTデバイスが繋がり、従来は手帳などに記入していた血圧や血糖値などの情報や複数の病院が管理するカルテ情報を合わせて手間無く持ち歩くことができ、病院や薬局で参照できる時代になってくると考えられるが、まだ少し先のことだろう。 また、EHRとしては当院では他病院やクリニックでも電子カルテ情報を閲覧できる阪大病院ネットを運用してきたが、2021年12月より薬局向けにも公開を開始した。公開に先立ち2020年に実施した調剤薬局へのアンケートの結果、回答した全ての薬局が電子カルテ情報を薬局における業務に活用したいと答えた一方、同意取得から病院側での公開設定までに時間が掛かることやセキュリティに不安があることなどの意見も寄せられた。実際に運用開始からこれまでオンラインで結んだ薬局は数軒に留まっている。アンケート結果を踏まえると不安を払拭し薬局のニーズを満たすためには、まだクリアしなければならない課題があると考えられた。 テクノロジーの進化で業務の軽減が期待される一方でその管理・運用については業務が増える側面もある。しかし進化の先を見据え適切なシステムやマスタの組み方が出来ればその労力を越えるメリットを医療者・患者双方が十分享受できる未来が来るのではないだろうか。