一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-3-01] 看護基礎教育における情報セキュリティ・情報倫理教育の教育内容の現状

*小野 保1、菖蒲澤 幸子2 (1. 岩手医科大学 教養教育センター情報科学科医用工学分野, 2. 岩手医科大学 看護学部)

Security Education, Information Ethics Education, Fact-finding Survey, Basic Nursing Education

【目的】看護基礎教育における情報セキュリティおよび情報倫理(以下「セキュリティ・倫理」)教育の再構築を目的として,全国の看護師学校養成所(以下「学校等」)に対してセキュリティ・倫理教育の現状についてアンケート調査を行った.この調査から,本研究では看護師養成課程別(以下「課程別」)のセキュリティ・倫理教育内容の現状を明らかにする. 【方法】全国の学校等の1,053学科・コースを調査対象としてWebページによるアンケート調査を実施した.調査依頼文書および説明文書を送付し,同意の得られた115学科・コースから回答を得た(回収率10.92%).調査内容は,筆者らが行った先行研究により抽出されたセキュリティ・倫理に関するキーワードを整理した53項目(情報セキュリティ関連41項目,情報倫理関連12項目)について,教育の実施の有無と教育の必要性に対する考えを,「実施かつ必要」,「必要だが未実施」,「未実施で必要性不明」,「未実施で実施不要」など6段階の選択肢で質問し,結果を課程別に分析した.本調査は岩手医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した.【結果・考察】80%以上の学校等が教育の必要性があると回答した項目は,セキュリティ関連で11項目,情報倫理関連では4項目であった.これらのうち,「必要だが未実施」の回答が20%以上の項目はセキュリティ関連で10項目,情報倫理関連で1項目であり,セキュリティ教育における教育の必要性と実施状況が乖離していることが明らかとなった.課程別では,大学と高校で「必要かつ実施」の割合が高く,「必要だが未実施」の割合が低い傾向が見られた.また3年課程と2年課程では「必要だが未実施」の割合が高い傾向が見られた.今後,教育の必要性が高いと感じている項目について,教育する方法・手段等の検討が必要であることが示唆された.