[3-G-3-04] 医療のリアルワールドデータを活用できる人材育成の実践と課題
Medical Real World Data, Human Resource Development, Educational Program
日々蓄積される医療データに対して、データ基盤を構築し活用できる高度な知識・技術を有する人材の不足が指摘されており、人材育成は喫緊の課題である。このような背景を受け、文部科学省は2019年度から「医療データ人材育成拠点形成事業」(研究拠点形成費等補助金)を開始した。東京大学はこの事業の補助を受け、医療リアルワールドデータを利活用できる総合力と実践力を兼ね備えた人材育成を目指した「医療リアルワールドデータ活用人材育成事業」を、筑波大学・富山大学・自治医科大学を連携校、国際医療福祉大学を協力校として開始した。 具体的には、①医療リアルワールドデータの特性・意義やバイアスが理解できる、②データ標準化と変換及びクレンジングにより解析可能な形式のデータベースを構築できる、③課題解決を目的とした知見を得るための具体的なデータ処理ができる、④これらについて自ら実践し、指導することができる人材を育成すべく、1年コースとして講義3科目24時間、実践4科目48時間、実地1科目の計87時間、2年コースとして講義3科目36時間、実践8科目96時間、実地2科目の計162時間を必修とし、他に選択科目を数科目用意した。また、両コースはいずれも文部科学省の認定する履修単位を取得できる条件を満たすようにした。その上で20年度から全国から履修希望者を募り、書類選考を経た医療免許保有者や医療関連データ解析の経験者計約30名の履修生を対象に、講義・演習等を展開している。新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオンラインもしくはハイブリッドでの受講形態をとりつつ3年度目を実施しており、アンケート調査では受講生からも高い満足度を得ている。 本発表では、教育プログラムの開発プロセスを含めた本事業の全体像を概観したうえで、今後目指すべき医療データ活用人材育成に関する課題と展望を紹介する。