一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-1-04] ICD-11導入に向けたわが国の傷病名の粒度に関する一考察
~医中誌における「関節」名称の調査から~

*亀井 純子1 (1. 川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部 医療秘書学科)

ICD-11, Extension Codes, Standard disease name master in Japan

【目的】 ICD-11では、エクステンションコード(以下、EC)により詳細な病態の分類が可能となり、今後の臨床研究等への活用にも期待が寄せられている。現在わが国ではICD10 対応標準病名マスター(以下、病名マスター)により、ICD-10の3~5桁コードが付与された標準病名や、修飾語を用いた詳細な傷病名を電子カルテに登録することが可能である。そこで、本研究では、わが国の文献に使用されている「関節」の表記について、病名マスターの修飾語ならびにICD-11のECと比較することで、その粒度について考察することを目的とした。 【方法】 医中誌Webの症例報告・事例報告(本文あり・2016~2021年)から「関節」を含む抄録を収集し、正規表現を用いて「関節で終わる熟語」を抽出、病名マスターVer.5.10の索引テーブルならびにICD-11のECと突合した。なお、ECはX章カテゴリのうち「joint」に該当する90件について、Web翻訳アプリ2種および日本整形外科学会用語集、「筋骨格系のキネシオロジー原著第3版」をもとに和訳を行った。 【結果】 「関節」を含む抄録は7,136件、抽出された「関節で終わる熟語」は4,422件(386語)であった。そのうち、病名マスターの索引テーブルと完全一致する用語は34件、一致しない用語のうち、索引テーブルにない関節名は41件であった。41件の関節のうち、12件がICD-11ECと一致し、同義語は8件、ECがない関節は21件であった。 【考察】 ECがない関節21件のうち、抄録への出現頻度も高い肘関節の詳細な関節名3件については、WHOへの追加要望を行うことで他の部位と粒度が揃うと考える。また、病名マスターの修飾語についてもECに合わせて作成することが望ましいと考えられた。