一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-2-01] 歯科大学病院から考える、歯科における医療ICTの課題と展望

*守下 昌輝1,2 (1. 九州歯科大学附属病院 診療情報管理室、2. 九州歯科大学 口腔機能学講座 クリニカルクラークシップ開発学分野)

Dentistry, Electronic Dental Record, Secondary use of medical information

2017年に国は、患者・国民に対する保健医療の質の向上を目指し、医療機関等の連携の推進、研究開発の推進、医療の効率化の推進を行うため、医療情報の標準化、電子カルテの導入、地域医療情報連携ネットワークの推進、電子処方箋、遠隔医療の導入による、医療情報分野の情報化を強力に推進する方針を示している。また2018年には、オンライン資格確認の導入、医療機関のデータのデジタル化、地域の医療機関のネットワーク化、医療データの利用拡大のための基盤整備を行っていくことを、国は示している。九州歯科大学附属病院では、2017年3月に歯科外来に電子カルテを導入し、診療データの二次利用を、医療安全対策、経営、教育利用の面から行っている。また、オンライン資格確認システムへの接続など、医療ICTへの対応を少しずつ進めているところである。2021年に厚生労働省で開催された、第1回ICTを活用した歯科診療等に関する検討会で、歯科におけるICTの活用の論点が示され、地域包括ケアシステムの推進にあたり、医科歯科連携が不足しており、口腔衛生指導・周術期口腔管理の面で、医科側の要求に歯科が応えきれていない現状を明らかにしている。また、日本の歯科医師の80%以上が、歯科診療所を開業または歯科診療所に勤務していることから、歯科医療は主に地域の歯科診療所を通じて国民に提供されており、歯科診療所の現状から歯科の医療ICT推進への課題を見出す必要がある。本講演では、歯科大学病院での診療情報の二次利用の状況や医療ICTの取り組みへの課題を紹介し、国の考える医療ICTの方向性に基づいて、歯科診療所の現状を踏まえ、歯科における医療ICTにおける課題と今後の展望を皆様と考えたい。