一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-2-02] 北海道の歯科保健医療におけるこれまでの取組と今後の展望
~限られた医療資源の活用に向けた医療情報のあり方の検討~

*永井 伯弥1、本田 和枝1 (1. 北海道保健福祉部健康安全局)

Uneven Distribution of Dentists, Interprofessional Collaboration, Dental Care in Remote Areas

北海道には第一次医療圏が179、第二次医療圏が21、第三次医療圏が6存在し、さらに6つの離島を有するなど、広域分散型という特徴があることに加え、東北6県の合計面積を上回る広大な土地を有する。その中で、総人口の約4割が札幌市に集中し、人口の地域偏在が認められるとともに、医療従事者の偏在も著しいことから、医療施設が整備された都市部に全道から入院患者が集まってきており、全国を上回る少子高齢化などを踏まえると、移動の手段が限られる高齢者への対応が重要になることが予想される。

このような状況の中、道では地域の実情を踏まえつつ、医療機能の分化と連携、地域包括ケアシステムの構築を図るとともに、医療従事者の地域偏在などに対しては医療資源を有効に活用し、良質な医療を提供するためにICTを活用した診療情報共有ネットワークの構築などを進めながら、医療提供体制の充実・強化を目指してきた。また、歯科保健医療提供体制の構築に向けては、離島への歯科専門職派遣による歯科医療提供支援、在宅歯科医療連携室設置による在宅歯科医療提供体制の整備、地域ケア会議に参加可能な歯科衛生士の育成など種々の取組を行ってきた。

しかしながら、現在も地方における歯科専門職の不足やそれに伴う在宅歯科診療の提供困難などの課題があり、また、今後は歯科専門職の高齢化や無歯科医地区の増加などの課題が生じることが予想される。

この課題解決に向けて、道には限られた医療資源の更なる有効活用が求められており、例えば、オンラインを活用した歯科相談・口腔衛生管理やDXを導入した病院-歯科診療所間・歯科診療所間ネットワーク機能の整備、データを効果的・効率的に活用した健康管理体制の構築などが必要になると考えられ、それぞれの歯科専門職が果たすべき役割を明確にすることで、道民が将来にわたり安心して歯科保健医療を受けることが出来るよう、その方法について検討を進めて参りたい。