一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-2-03] 歯科レセプト情報の活用

*竹田 飛鳥1 (1. 国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)

Dental Insurance Claim, National Database (NDB), Health Crisis

近年、医療サービスの提供に係る実態把握などを目的に、レセプト情報を利用した疫学研究が活発に実施されている。厚生労働省保険局が所有するNDB(ナショナルデータベース)がオープンデータ化されたことも影響しているだろう。オープンデータは限られた項目ではあるが、誰もが自由にレセプト情報を分析できる時代になった。レセプト情報の分析結果を踏まえ、科学的な根拠に基づいた治療法を提示し、目の前にいる患者にとって最適な治療を提案することも可能となるだろう。 NDBは、電子化されたレセプト情報と特定健診・特定保健指導情報によって構成され、2022年3月末現在、約225億1,500万件分(2021年12月分まで)のレセプト情報が集積されている。国民皆保険制度があるわが国において、医療動向を全数に近い状況で分析することできる。一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し、歯科患者の受診動向に対するCOVID-19の影響を迅速に把握したい場合など、分析項目によっては、NDBデータよりも厚生労働省や審査支払機関の統計月報に掲載されたレセプト情報を利用して分析したほうが、現況をより早く共有できることもある。 今回は、歯科レセプト情報の活用事例を紹介するとともに、電子化された歯科レセプト情報によってもたらされる可能について、考えていきたいと思う。