[3-H-3] 口腔・歯科領域の次世代医療情報プラットフォームの構築にむけた取り組み
FHIR, DX, EHR
「全国医療情報プラットフォーム」の創設に係る歯科の役割として、患者が適切な治療を受ける環境や感染症の流行状況の把握に必要となる情報提供があります。とりわけ、歯科における投薬情報や、アレルギー情報、さらには摂食、嚥下、構音に関わる状態の共有に関しては歯科が初発の患者情報となる可能性が高く、医科や老健施設等との速やかな情報共有が求められています。ただし情報共有するデータとして、PDF等の文書ではなく、構造化されたデータであることが要点となります。米国における「Blue Button 2.0」のような患者サイドが所持する個人情報と「openEHR」、「SS-MIX2」のような病院側の個人情報、さらには「LIFE」のような老健施設等の個人情報をシームレスに共有できれば、社会生活における情報活用が進歩し、ひいては健康長寿社会の実現に寄与するものと考えられます。 現実的には、オンライン資格確認に必要なマイナンバーカードの普及率は5割未満(令和4年6月現在)、歯科電子カルテの普及率も1割未満(令和3年度)であり、医科の診療所のそれより数40%以上下回っています。一方で、歯科におけるレセプト電算化は9割を上回っており、レセプト情報はNDBとして2次利用が進んでいます。このような状況下において、歯科医療情報領域において優先的に達成すべき目標を定め、その実現のための課題を抽出し、その解決に必要な規制改革やデータ、技術等について具体化するための議論こそが、今、求められていると思います。 本シンポジウムでは、歯科医療情報を社会と共有するために必要となるデータ交換方式について焦点を当て、学術領域について井田有亮先生(東京大学)、技術領域から塩川康成氏(キヤノンメディカルシステムズ株式会社)、歯科開発分野から水野健一氏(メディア株式会社)といった各分野のエキスパートから情報提供をしていただき、さらにAIを用いた画像情報交換という新規分野について木下淳博先生(東京医科歯科大学)にお話しいただきます。