Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-02] Utilizing HL7 FHIR for Dental and Oral Healthcare (Technical View)

*Yasunari Shiokawa1 (1. Canon Medical Systems Corporation)

HL7 FHIR, Dental, Oral, SS-MIX, HL7 V2.5

HL7 FHIRは一般的なWeb通信技術に沿った(RESTful)プロトコルを採用しており、インターネット上の自由でオープンな情報共有プラットフォームを享受でき、実装障壁を下げたことが注目の一端となっている。情報アクセスの対象はリソースであり、FHIRではこの設計に柔軟性を持たせるべく、患者、検査といった情報単位をリソースとし、8割の共通性で属性定義を行っている。リソースにはユースケースに合わせて拡張(Extension)や要件(Profile)の定義が可能で、さらにリソースの連携やグルーピングを行うことで様々な医療情報を表現できるように設計されている。
NeXEHRS研究会 FHIR日本実装検討WGのSub WG2では、検査やレポートを中心に国内でのFHIRリソース活用のための要件定義をしている。SWG2では口腔・歯科分科会を設けて、口腔状態スナップショット等のこの領域特有の要件をまとめている。特に歯式で表現される「歯」それぞれに対し、その部分や状態、さらに治療行為について情報を管理することが特徴である。この検討にあたっては、SS-MIX2に保管されている口腔診査情報も意識し、HL7 V2.5の定義を参考に、FHIRではObservationリソースを活用してこの情報構造を定義している。
口腔診査情報は、すべての歯の状態を示すサマリ的な情報と、個々の歯の部位に対する治療等の履歴的な情報が発生する。すなわち、口腔状態スナップショットはその時点での患者の口腔内のサマリ的状態を表すが、この後に発生した個々の治療履歴情報の集積結果が、最新の口腔状態を表すことになる。この点はSS-MIXもFHIRも同じであるが、システム開発者は意識して情報を取り扱う必要がある。
口腔・歯科領域については、電子情報共有に重要な、歯種、部位、状態、治療、全ての用語について符号化した「用語セット」が厚労省標準(HS034口腔診査情報標準コード)で整備されている。FHIRで電子化した情報を広範に共有できるようになると、そのメリットを一早く享受できる領域ではないかと期待している。