一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-3-04] 口腔内写真から歯の状態を判別する解析アプリケーションの開発 第一報

*木下 淳博1、松井 秀樹2、瀧上 悟2、川部 鉄士2、浅沼 知也3、宇野 友季子3、三河 千明3、岡 寛人3、後藤 敦司3 (1. 東京医科歯科大学、2. キヤノンメディカルシステムズ株式会社、3. キヤノン株式会社)

deep learning, oral examination standard code, application development

歯科医師は療養担当規則の第二十二条で定める歯科診療録(様式第一号(二)の1、及び様式第一号(二)の2)に遅滞なく必要な事項を記載しなければならないとあり、初診時の口腔内所見についても記載義務が課せられている。最大32本ある歯について、1歯単位で歯の有無や状態(歯科疾患の状態や修復・補綴物の種類等)を記録することは、当然必要なことではあるが手間がかかる作業となっている。
 一方、2011年の東日本大震災時に、歯科情報による身元確認の有用性が確認されており、歯科診療時に「歯の位置や有無、状態」を電子的に記録しておくことの重要性が改めて認識されている。また、2021年3月に歯科医師会が作成した「口腔審査情報標準コード」が厚生労働省の標準規格に採用されたことや、2020年4月に施行された「死因究明等推進基本法」第十六条に歯科診療に関する情報の標準化の促進とデータベース化の整備に必要な施策を講ずるものとするとされていることから、歯科診療時に「歯の位置や有無、状態」を電子的に記録することの重要性が益々高まっていくと考えられる。
 これまで、診療現場での業務効率化や口腔内情報のデータ化については、歯科X線画像を対象にしたディープラーニングを用いた研究や取組が多く行われている。私共は、歯科の診療現場で日常的に撮影されている口腔内写真を対象に、ディープラーニングを用いて「歯の位置や有無、状態」を識別し、結果を「口腔審査情報標準コード」で出力して、電子カルテに取り込むアプリケーションを開発している。今回の発表では、その途中経過を報告する。医療現場でのDXを加速させるために政府が推進する「全国医療情報プラットフォームの創設」における歯科情報の取り込みも、本アプリケーションにより実現することを見据える。