一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-1-03] 手術室監視映像の分析に基づく医療者の行動と手術開始時刻の関連性調査

*伊藤 彰仁1、森 由希子1、岸本 和昌1、Liu Chang1、山本 豪志朗1、黒田 知宏1、江木 盛時1 (1. 京都大学医学部附属病院)

Automated Anesthesia, Surgery Progress Prediction, Video Analysis

近年、術中麻酔深度の維持をサポートするロボット麻酔システムの開発が模索されている。麻酔科医は、バイタルサインだけでなく自らの感覚を駆使し、手術室の状況から手術経過を予想することで麻酔中の全身管理を行っている。ロボット麻酔システムが麻酔科医と同様に、手術室の状況から手術の経過を予測できれば、麻酔科医が提供する全身麻酔により近い全身管理の提供が期待できる。本研究では、麻酔科医が状況を判断する材料の一つである外科医を中心とした医療者が手術開始までに取る行動に着目し、手術経過を予測する方法を検討する。
 本稿では、手術開始時刻を予測対象とし、手術室全体を捉えた監視カメラ映像を用いた医療者の行動分析に基づいて、医療者の行動と手術開始時刻の関連性について調査した。具体的には、患者入室から手術開始までに起きる医療者の行動として、外科医の手洗いからの帰室、術野の消毒開始、ドレーピングの開始などに着目した。2022年5月に京都大学医学部附属病院手術室で全身麻酔下に実施された手術、計344件の監視映像を対象とし、医療者の各行動の時刻から手術開始までの時間を算出した。その結果、ドレーピングの開始時刻から手術開始までの時間が最もばらつきが小さいことが示された。今後さらに、執刀診療科、術式などの手術に付帯した情報を考慮した手術開始時刻を予測する手法について検討する。