一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-2-04] テンプレートの引用機能を活用したせん妄予防スクリーニングの取り組み

*村田 泰三1、岡田 佳築2、向井 頼貴1、石井 美佐子1、真鍋 史朗2、武田 理宏2 (1. 大阪大学医学部附属病院医療情報部, 2. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学)

Delirium prevention screening, Template citation function, EMR

入院患者に対するせん妄予防を目的とした「せん妄ハイリスク患者ケア加算」は、全ての入院患者に対して、入院3日以内にせん妄に対するリスク因子のスクリーニングを実施し、ハイリスク患者にせん妄対策の実施することが必要である。加算要件でリスク因子は、7つの項目を定義しており、年齢、薬剤、病名、手術など多岐の情報収集が必要となる。また、全患者に新たなスクリーニング実施する場合、既存の運用上で内容を追加すると評価漏れが起きにくい。そこで、看護師が入院時に必ず記載する患者プロフィール上でせん妄スクリーニングを実施する運用フローを作成した。  まず、患者プロフィールに加算要件のチェックリストに準じたスクリーニングテンプレートを追加した。当院のテンプレートは、入力画面とカルテに出力する自然言語を別に制御できるため、スクリーニングの判断に必要な注釈を入力画面に表示できる。また、テンプレートのデータ引用機能を活用した。リスク因子の「①年齢:70歳以上」は、年齢から自動的に判定し、「②脳器質的障害、③認知症、④せん妄の既往」は、病名をテンプレート内に引用し、看護師が病名と注釈を照合して、評価した。「⑤アルコール多飲」は、患者プロフィールの飲酒歴で飲酒機会と飲酒量による指標を算出しており、その値を引用して評価した。「⑥リスクとなる薬剤」は、薬効分類が表示された投与歴を引用し、注釈に該当の薬効分類を表示しリスク薬剤の有無を評価した。「⑦全身麻酔を要する手術」は、手術依頼情報により評価した。  また、ハイリスクと判断した患者は、入院診療計画書の看護計画のテンプレートにせん妄対策の実施計画の項目を追加し、記載できるようにした。その情報元にコスト算定用の用紙を自動発生させ、医事課がコスト算定を行った。これにより、入院時のスクリーニング、せん妄対策の実施、コスト算定までの一連の作業がシームレスに実施できた。