Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-05] 医療情報システムから抽出したデータの二次利用における課題~医療の質管理のためのデータの5W1H~

*Satoko Matsumoto1,2, Kanako Kunimatsu3, Tsuyoshi Akiyama1 (1. NTT東日本関東病院 品質保証室, 2. 帝京大学 医学部 内科学講座 , 3. NTT東日本関東病院 情報システム)

Electronic Medical Records, Medical Informatics, Quality Indicator, Quality of Health Care, Data quality

【背景】電子カルテをはじめとする医療情報システム(以下、HIS)は臨床指標(以下、QI)の重要なデータ源であるが、必ずしもデータの二次利用に適したデータベースシステムとはなっていない。例えば、5W1Hはデータの基本構成であるが(久保田;2020、土井ら;2013、柗本ら;2012)、HISから抽出されるデータは必ずしも5W1H(いつ、どこで、誰が・誰に、何を、何のために、どのように)が明確ではない(武田ら;2017、奥原ら;2004)。

【目的】HISに蓄積されたデータの二次利用時における5W1Hに関する問題について整理・分類し、対処法の方向性について検討する。

【方法】2016年4月~2022年5月の間にNTT東日本関東病院において演者が算出したQIのうち、HISから抽出されたデータ処理時に5W1Hの不明確さに関する障害が発生した事例について分類し、提示する。

【結果】HISをデータ源とするQIのうち、障害が発生したQIは、18種、障害数は22件(When:12件、Where:1件、Who:0件、What:3件、Why:4件、How:2件)であった。

【考察】Whenに関する障害が最も多くを占めていた。Whenに関する障害の原因の内訳は、①テンプレートやサマリ内に行為の発生日(例:評価日)に関する項目が存在しない(7件)、②入院年月日に関する項目が部門システム内に存在しない(3件)、③必ずしも正確な日時が登録されていない(2件)、であった。一連の医療工程をひとまとめとする(データセットを突合する)上で、外来はWho(患者ID)とWhen(来院日)、入院はWho(患者ID)とWhen(入院日、行為の発生日等)の組み合わせが主要なキーとなる(奥原ら;2004)。システム設計や情報入力方法の構造化・標準化の際に、Whenの明確さを高めるための工夫を行うことが効果的であると考えられる。