Japan Association for Medical Informatics

[3-I-3-01] 画像認識モデルによる胸部CTの解剖学的断面像抽出手法を介した間質性肺炎予後予測モデルの開発

*Jiahao Zhang1, Syoya Wada2,1, Kento Sugimoto1, Katsuki Okada2,1, Shiro Manabe1, Syozo Konishi1, Hiroshi Kida4, Kiyoharu Fukushima5, Satoshi Hattori6, Yasushi Matsumura3,1, Toshihiro Takeda1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 2. 大阪大学大学院医学系研究科 変革的医療情報システム開発学寄附講座, 3. 国立病院機構大阪医療センター, 4. 大阪刀根山医療センター 呼吸器内科, 5. 大阪大学医学部附属病院 呼吸器・免疫内科, 6. 大阪大学大学院医学系研究科 医学統計学)

Prognostic Prediction, Interstitial Lung Disease, Computed Tomography, Deep Learning

【背景】 間質性肺炎(IP)は主に肺胞隔壁を炎症の場とする疾患の総称であるが、その臨床像は多彩であり、診断時点での予後予測は困難である。我々は胸部CT画像を用いた予後予測に関する深層学習モデルの構築を目指したが、3次元畳み込みニューラルネットワーク (3D-CNN)の場合、転移学習による性能向上のメリットを享受できず、またモデルの学習自体にも潤沢な計算資源を要求されることが課題であった。そこで、事前学習済みの重みが利用可能な2次元畳み込みニューラルネットワーク (2D-CNN)をベースにして学習コストが低い予後予測モデルの構築を目指した。
【方法】 当院倫理審査委員会の承認を得て、間質性肺炎患者198例(進行事例77例を含む)の胸部CTを訓練データ、検証データ、評価データに分割して使用した。まず2D-CNNで教師あり学習を行い、体軸方向に解剖学的断面(肺尖部、気管分岐部、横隔膜直上部:ポジションマーカー)を特定するモデルを構築した。次に、代表断面像(間質性肺炎の所見が見られる肺実質を多く含む断面像)をポジションマーカーからの相対位置で決定し、それらの代表断面像を入力とする予後予測モデルを構築した。予後予測モデルは2D-CNNをバックボーンとしつつも位置の異なる断面像を3次元的に利用出来る深層学習アルゴリズム Asymmetric 3D Context Fusion Operator (A3D)を採用した。各症例から選択する断面像数が3枚、5枚、9枚の場合を検証し、4種類のA3D-DenseNetで性能を比較した。
【結果】 ポジションマーカー抽出器は評価データの全症例で正解断面像の上下2枚以内を候補に挙げることが出来た。予後予測で最も性能が高いモデルではAUROC 0.809を達成した。
【結語】 間質性肺炎患者の胸部CT画像シリーズから代表断面像を用いて予後予測モデルを構築出来る可能性を示せた。