Japan Association for Medical Informatics

[3-I-3-02] Synthetic MRIから得たマッピング画像のレディオミクス特徴量を用いた機械学習による乳腺腫瘤の良悪性鑑別の試み

*Takuya Matsuda1, Megumi Matsuda2, Kanako Okada3, Wataru Toshimori2, Eizen Kimura1, Teruhito Kido2 (1. 愛媛大学大学院医学系研究科医療情報学講座, 2. 愛媛大学医学部附属病院放射線科, 3. 愛媛県立中央病院放射線科)

MRI, breast tumor, Radiomics features

背景と目的
近年開発されたSynthetic MRIは1scanのsource imageから複数種類のマッピング画像の取得が可能である。乳腺のマッピング画像に対してレディオミクス特徴量を用いた研究は未だ少ない。造影前後の乳腺Synthetic MRIから得たマッピング画像からレディオミクス特徴量を抽出し、機械学習手法による乳腺腫瘤の良悪性の鑑別を試みた。
方法
対象は、乳房精査目的で当院の3.0T 乳腺造影MRIで造影される腫瘤性病変を認め、病理組織学的診断を得た178人、185(良性:51、悪性:134)病変。造影前後のSynthetic MRIから、プロトン密度(PD)マップ、T1マップ、T2マップの3種のマッピング画像を取得した。矩形トリミング・マスク・画像フィルター処理後に88種のレディオミクス特徴量を抽出した。造影前・後の3種のマッピング画像から得た88×3×2=528種の特徴量から100種を特徴量選択し機械学習用データセットとした。 機械学習ではStratified 3-fold交差検証を行い、平均診断能を評価した。造影前後の画像フィルター18種類、6通りの機械学習手法の18×18×6=1944通りの組み合わせの中から最も高い平均正診率を得たモデルを結果とした。
結果
正診率が最も高いのは造影前画像にBilateralフィルター、造影後画像にCurvatureFlowフィルターを使用し、ナイーブベイズで学習したモデルであり、悪性腫瘍に対して感度0.76、特異度0.63、陽性的中率0.87、陰性的中率0.47、F値0.81、正解率0.73であった。
考察
Synthetic MRIから得たマッピング画像のレディオミクス特徴量を用いた機械学習手法は乳腺腫瘤の良悪性鑑別に有用である可能性が示唆された。今後は、性能向上のため、その他のMRI画像特徴量や臨床的因子を加えた機械学習手法を検討している。