Japan Association for Medical Informatics

[3-I-3-04] 放射線部門における患者顔認証システムの開発と評価
~改良型顔認証システムの認証精度~

*Toshiyuki Shibuya1, Hiroyuki Ota1, Chikara Mano1, Keiichi Nomura2, Akira Takagi3, Daigo Hayashi3, Tomonari Taniguchi3, Tomoyuki Kubota3, Yuichi Nagai1, Yoshihisa Muramatsu1, Tatsushi Kobayashi4 (1. 国立がん研究センター東病院 放射線技術部, 2. 国立がん研究センター東病院 医療情報部, 3. キヤノンメドテックサプライ株式会社, 4. 国立がん研究センター東病院 放射線診断科)

Face recognition, Patient misidentification, RIS

目的
臨床現場では、従事者の思い込み等により患者誤認が発生する。この課題に対し、患者の生体情報である顔を利用した顔認証システム(Patient Face Recognition System: PFRS)を開発し、CT室で臨床応用を行ってきた。本研究の目的は、改良型PFRS の認証精度を旧型PFRSと比較し、有効性を明らかにする。

方法
PFRS(キヤノンメドテックサプライ株式会社)は、顔登録用カメラと認証ソフトで構成され、放射線部門システム及びCT室内のカメラと連携している。対象者は、旧型PFRSは164例、改良型PFRSは133例である。旧型PFRSはマスクを外して顔登録・認証を行い、歩行時に認証した。改良型PFRSは、顔登録・認証時にマスク着用で行い、歩行時と仰臥位時の2つの位置から認証を行った。認証結果から認証成功率を算出し、フィッシャーの直接確率検定にて有意差を判定した。

結果
旧型PFRSで認証成功例は146例、認証成功率は93%であった。改良型PFRSは同様に、128例、96%であった。改良型PFRSの歩行時は20例で認証されなかったが、その内15例は仰臥位時で認証した。旧型PFRSと改良型PFRSの認証結果に有意差は認められなかった(p=0.6803>0.05)。

考察
マスクを着用した改良型PFRSは、旧型PFRSと同等に認証ができた。改良型PFRSは、歩行時の認証で失敗しても仰臥位時で認証が可能なため、旧型PFRSより成功率が高くなった。しかし、仰臥位用カメラの位置が、患者の顔に対して鋭角となり認識できなかった。仰臥位用カメラを寝台の真上に設置することで、認証精度が改善する。

結論
改良型PFRSをCT室に適用し、マスク着用状態で顔認証の精度は担保されていた。歩行時・仰臥位時の2つの位置から認証することで認証精度は改善し、 PFRSによる患者認証の実用化に向けて前進した。