Japan Association for Medical Informatics

[3-I-3-06] 画像情報の長期保管に関する検討

*Yuki Tanaka1, Yousuke Aoki1 (1. 大船中央病院)

PACS, Long Term Storage, View Operation Log

【背景】当院のPACSには、2004年の稼働開始から現在まで約18年分の画像が保管されている。近年、記録媒体の進歩により画像の長期保管が容易になったといえるが、サーバーの増設費や維持費の増加、経年劣化のリスクが懸念される。
【目的】当院のPACSに保管されている画像の閲覧ログと保管日数の関係から長期保管について検討する。
【方法】PACSに保管されている2017年5月から2022年2月までの閲覧ログから、患者ID、検査種別、検査日、閲覧者、閲覧日の情報を取得した。検査日と閲覧日の差分から、画像の保管日数を求めた。これを100日ごとの階級と、100日以内については1日ごとの階級に分け度数分布を求めた。
【結果】全ログ数は707万9721件であった。保管日数の中央値は1日であり、保管日数が長くなるほど閲覧ログは少なくなっていった。閲覧は検査当日の画像が最も多く342万5233件であった。医療法施行規則上の保管義務である2年間(700-800日の階級まで)の閲覧ログの合計は、全ログ数の95%であった。しかしながら、当院では最も古い18年前の画像も閲覧されていることが確認できた。
【考察】ログの傾向だけをみれば、検査日から2年以内の画像を残すだけでも閲覧の9割以上を網羅できるため、それ以上の画像を残す必要性は低いと考えられる。しかし、実際の診療業務では18年前の画像も閲覧されていることから、画像を削除する運用は診療に影響がでる可能性があると考えられる。そのため、費用面などの問題はあるが、今後も削除せずに運用していく必要があると考える。
【結論】画像の閲覧は検査日から数年以内のものに集中する傾向があるが、最も古い画像も閲覧されていることが分かった。保管されている画像をどのように残していくかについては、サーバーの管理費用だけでなく利用状況なども考慮しながら、今後も継続して確認していく必要がある。