一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P-1-01] 北海道大学病院附属司法精神医療センター開設に伴う病院情報システム構築

*日下部 龍巳1、沼田 光哉1、松本 かな1、中泉 晶子2、伊藤 豊1、遠藤 晃1 (1.北海道大学病院医療情報企画部、2.北海道大学病院附属司法精神医療センター)

Forensic Psychiatry Center, Hokkaido University Hospital, Medical Treatment and Supervison Act, Medical information system

【背景】
 医療観察法指定入院医療機関は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った入院処遇対象者に対して、多職種チームによる医療を継続的に行うことで病状を改善し、社会復帰を促進することを目的としている。北海道大学病院附属司法精神医療センター(以下「分院」)は、北海道初、大学病院附属初かつ敷地外の分院としても初の試みとして2022年4月に開設された。今回、分院で使用する病院情報システム構築おける課題と対応について報告を行う。
【課題】
 システム構築に際し、以下の課題の解決が求められた。
 1)立地条件:本院から約4.5Km。
 2)本院システムとの連携:本院側との情報共有・連携が不可欠である。
 3)専用システムの必要性:指定入院医療機関として、厚生労働省の「重度精神疾患標準治療法確立事業」に基づき、定められた診療情報を匿名化して提出する事が必要であり、これには専用の医療観察法診療支援システムの導入が不可欠である。
【対応】
 分院での治療には本院側との密な連携・情報共有が必須であることから、今回、独立した別システムではなく、本院のHIS上に、便宜上分院を1病棟として構築する事を考えた。しかし、分院は本院から約4.5km離れていることから、本院環境をそのまま使用することができない。このため、分院のクライアント環境を仮想化し、通信キャリアが提供する閉域網を介して、リモートデスクトップにて操作できることとした。
 さらに、医療観察法診療支援システムは、HISベンダーとは別製の専用システムを相乗りする形で新規導入し、日々の診療記録や治療評価会議などの各種会議記録の入力などを行うこととした。なお、処方・注射オーダ、薬剤マスタ、職員マスタについては、HIS間とのインターフェースを開発することで、本院電子カルテで登録された処方、注射の情報が医療観察法診療支援システムに日々の診療記録として記録されるよう連携を行った。