Japan Association for Medical Informatics

[3-P-2-03] オープンソースソフトウェアを活用したVDI方式による医療データ解析基盤の構築

*Yuki Hyohdoh1, Mariko Hiyama1, Shigehiro Yasui1, Yutaka Hatakeyama1, Yoshiyasu Okuhara1 (1.高知大学医学部附属医学情報センター)

Open Source Software, Data mining, Virtual Desktop Infrastructure

【はじめに】 昨今、大学でのデータサイエンス教育が推進され、学生に対する医療データ解析の教育的重要性は増している。しかし実際にデータ解析環境を構築する場合、仮名化しても医療情報は機微性が高いため安全に配慮した設計が必須であり、導入経費や各種ライセンス費用などの構築コストは高い。 一方、最近はOSSが充実しており、認証基盤等を独自に構築する障壁が低下している。本研究は医療情報システムと同等のセキュリティを実現し、導入コストを低減したデータ解析環境の構成を提案することを目的とした。本演題では、提案する構成や導入コスト、小規模なシステムで実装した際の性能評価指標について報告する。

【方法】 データの機微性を考慮し、二要素認証ならびに仮想デスクトップを必須要件とした。さらに、利便性を考慮しVDI方式、かつローミング機能を実現することとした。使用する技術基盤は、開発が継続されているものや業界団体等での規格が定められているものを優先して使用した。以上より、二要素認証の実現はFIDOのU2Fに対応しているデバイスを、VDI基盤はLinuxの仮想基盤であるKVMを利用したProxmox VEを用いた。ローミング機能は、シェルスクリプトにて独自開発した。仮想デスクトップのOSは、SQLクライアント・R言語の実行が可能なUbuntu OSとした。

【結果】 仮想環境のサーバ1台、端末2台の最小構成にて提案構成の最小モデルを構築できた。さらに、一般的なVDI環境と比較し、試算上ライセンスに係る費用等削減にて、約70%のコストにて実現可能と推測された。

【考察】 本システムはLinuxを中心に構成しており、深層学習などGPUを活用した解析にも親和性が高いことは副次的な利点である。一方、管理者はLinuxを扱う能力が必要であること、ネットワークの安全性については別途検討が必要であることは、導入時の課題となると考える。