Japan Association for Medical Informatics

[3-P-3-01] 患者呼出機の位置情報と診療データを活用した外来患者動線の把握と可視化の試み

*Tsubasa Fuse1, Masami Mukai2, Naoki Mihara2 (1.株式会社システムエグゼ, 2.国立がん研究センター中央病院 医療情報部)

Patient guidance, Patient caller, Integrated database

【背景・目的】COVID-19の感染対策として、院内の混雑状況を可視化し、密を回避するため患者誘導の指標の検討をしている。2021年05月より呼出機による患者誘導の運用を開始している。先行研究では建屋のフロア単位に患者の位置情報を取得して可視化を実現したが、各フロア内の詳細な患者の位置情報の収集ができない等の課題があった。今回、各フロア内の患者位置情報を収集する方法を検討した。【方法】統合データベースより、呼出機のログ情報をACCESSにデータ抽出した。対象は、無線LAN更新後の2022年04月の1か月とした。ログ内の呼出機を検知した無線LANのアクセスポイントの物理的な設置場所と電子カルテの診察歴や検査時間の診療データよりフロア内の患者の位置情報を特定した。収集した患者の位置情報を外来エリア別に30分単位に集計し滞在患者数を算出した。集計した滞在患者数をEXCELのPowerPivotのアドインでデータを取り込み、フロアマップへマッピングした上で動的に変化を表現したツールを作成した。【結果】対象期間の1ヵ月間の集計対象のデータ量は、呼出機を使用した患者延べ数は約35,000人、位置情報ログは約450,000件であった。電子カルテの運用端末におけるツールの実行結果は、ACCESSへのデータ抽出は50秒、データ集計は45秒、EXCELのデータ取り込み及び描画は5秒の処理時間をそれぞれ要した。【考察】フロア内の詳細な患者の位置情報を把握し収集することができた。また、外来エリア別の30分単位の滞在患者数より、各外来エリア単位の滞在する患者数の推移や院内の混雑状況の可視化ができた。本結果は、現在の院内の患者導線の評価の指標として活用でき、今後の患者誘導の運用改善に繋がることが期待できる。今後は、日々の業務で活用できるリアルタイムな患者位置情報を集計し表現する仕組みを検討している。