Japan Association for Medical Informatics

[3-P-4-01] 診療データの多次元時系列の構造化を用いたデータベースの作成
- 脳出血患者データへの適応 -

*Akira Ishii1, Atsuko Saito1, Hideo Suzuki2, Masayuki Honda1, Takahiro Suzuki1 (1.千葉大学医学部附属病院企画情報部, 2.SDMコンソーシアム)

time sequential data model, clinical database, cerebral hemorrhage cases

診療経過の時系列表示は、フローシートとして多くの電子カルテに組み込まれている。この時系列表示においては、診療行為を一定の時間間隔で表示する方法と、発生時刻順に表示する方法があり、それぞれに適した状況で活用されている。しかしどちらの方法においても、行為の開始から終了までの経過時間までを表現することが出来ていない。特に投薬と観察項目、検査結果、アウトカムなどの関係を把握するには、投薬期間や投薬量などの経時データやバイタルなどの連続データの表現が重要である。
一方、医療従事者は、患者の治療を計画する際、自身の経験と、最新のガイドラインやクリニカルパスを患者に適用し、状態の変化を見ながら診療方針を修正して、サイクルを回していくのが一般的となっている。しかし、患者の個体差や病態に最適な診療方法を選択するには、多くの症例経験が必要となる。もし、過去の類似症例を本データベースに活用することにより簡単に検索することができれば、患者に最適な診療方法の選択肢も増え、患者の負担軽減に繋がることが可能となり、同時に医療従事者の負担も減る。
本研究では、入院期間の診療経過を経過時間とともに多次元時系列構造化情報として表現し、その結果を患者プロファイルとともにデータベースに保存し、様々な条件で検索する方法を検討した。対象として脳出血の真陽性、偽陽性の症例に関して、入院期間における入院相対日を時間軸として、診療行為のうち、病名、処方オーダ、注射実施、手術、画像検査実施を時系列データとして記録した。この時系列データおよび患者プロファイルから特定の条件で症例を検索することを試みた。 今後は、時系列データから、さまざまな変量を抽出し、クラスタリングなど統計的なマイニング手法や、臨床的な分類を用いた機械学習などにより、症例のパターン分類を行い、類似症例の候補を自動的に抽出することへと発展させる。