Japan Association for Medical Informatics

[3-P-4-06] 病院内ネットワークで閉じたweb会議システムの構築:コロナ禍における個人情報保護を見据えて

*Takayuki Enoue1, Shoichi Fujita1, Yoshihiko Mizuta1, Shogo Ito1, Kazutoshi Takase1, Yumi Taga1, Kazuhiro Yoshida2, Yoshihisa Sugimoto3, Takashi Ashihara3 (1.滋賀医科大学 クオリティマネジメント課医療情報係, 2.滋賀医科大学 看護部, 3.滋賀医科大学 情報総合センター・医療情報部)

Web conference system, closed network, jitsi meet, COVID-19, red zone

コロナ禍では様々な状況でweb会議が行われている。しかし、商用web会議システムの多くはインターネットに接続する方式であり、要配慮個人情報で溢れる院内で用いるには不安があった。ここでは、インターネットに接続しないクローズドな環境でも利用可能なweb会議システムを構築した当院での事例を報告する。
OSにはUbuntu 20.04 LTSを利用し、web会議システムとしてはオープンソースソフトウェアであるjitsi meetを採用した。その理由としては、院内ネットワークのみのクローズドな環境でも動作すること、オンプレミスでの構築が可能なこと、特殊なソフトウェアをインストールする必要がないこと、時間の制限なく利用可能なことなどが挙げられる。
コロナ禍の当院におけるweb会議システムの具体的な用途としては、次のようなものである。
(1) 執務室における三密回避: 執務室では感染対策を行えるスペースが無く、職員を離れた違う部屋に分け、本システムで繋ぎ情報共有を行った。医学生の病院実習等にも活用。
(2) COVID-19レッドゾーン監視: レッドゾーンで使用される人工呼吸器の警告音の聞こえにくさを補うための監視ツールとして利用。
(3) iPod touchを介し、病院情報システムの端末故障や障害時の対応に伴う医療情報係員の情報共有ツールとして利用。
今後は、緊急災害時における情報共有ツールや、インターネット分離した電子カルテ端末を用いた症例カンファレンス等での利用を考えている。本来、web会議システムの利便性とセキュリティは相反するものであるが、当院のようにインターネット分離された環境下でそれらを両立するには、内製化する必要があった。コロナ禍のような有事にはそうしたニーズが高まるが、どのようなweb会議システムが望ましいかについては試行錯誤が求められるところであり、我々の経験が他院の参考になると考え報告した。