Japan Association for Medical Informatics

[3-P-5-02] PHR機能追加による医療情報連携システムの課題解決の取り組み

*Akinori Nishikawa1,2,5, Yoshiki Kusumoto4, Kazuhiro Togou3, Hideki Katsumi3, Hiroshi Doumoto5, Masayuki Irie5 (1.和歌山県立医科大学, 2.青洲リンク協議会, 3.PSP株式会社, 4.株式会社サイバーリンクス, 5.NPO法人 和歌山地域医療情報ネットワーク協議会)

EHR, PHR, SS-MIX2

きのくに医療情報連携システム「青洲リンク」は2013年4月の本稼働から、今年で10年目を迎えた。現在の運用状況や課題、課題解決に向けた新たな取り組みについて報告する。「青洲リンク」は厚労省2012年度「医療情報連携・保全基盤推進事業」の予算を活用し、災害に備えた医療情報の保全と、平時における全県規模での医療情報連携を目的に、和歌山県立医科大学が中心となり構築したマルチベンダー型のクラウド型システムである。構築当初は8病院の電子カルテから出力されるSS-MIXでの情報連携のみであったが、地域医療再生基金を活用し2013年から3年間をかけて機能追加を行い、現在ではDICOM画像連携、医科・歯科診療所のレセプトデータ、検査ラボの検査結果データ、薬局の調剤データを含めた全県下での双方向情報連携体制を実現している。しかし当初計画した県下22病院の参加目標が実現できていない。稼働から10年、幸い広域災害も発生せず、平時の医療情報連携のみでの活用となった一方で、財政面、制度面、運用面等を鑑みた場合、利用の価値が課題として浮き彫りになってきた。参加病院数においては開始当時の8病院から4病院増えて一時期は12病院で推移していたものの、コロナ禍もあり昨年度に3病院が脱退、現在では9病院の参加に留まっている。また、2021年からオンライン資格確認システムでの薬剤情報参照や検診情報参照等、最小限の医療情報共有の仕組みが全国的に実現され、「青洲リンク」自体の存在意義をも問われ出してきた。そこで「青洲リンク」では新たな試みとして、現行の医師等が医師主導で医療情報を参照する形から、患者が「青洲リンク」上の医療情報を自身で管理でき、自身の意思で医師等に提示するPHR機能を追加し、2022年5月から和歌山県立医科大学でパイロット運用を開始、2022年度中には青洲リンク参加の全医療機関で展開する計画である。