一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P-5-03] オンライン診療アプリケーション「YaDoc」を利用したPHR構築

*松本 武浩1,2,3、木下 琢也2,1、阪本 純一2,1、臼井 哲也1,4、大伴 哲治1、一橋 了介1、辻 明美1,5、堀田 ほづみ1,5、山下 利佳1、野上 朋幸1、田浦 直太1、武藤 真祐6、伊藤 眞由美1 (1.長崎大学病院 医療情報部、2.長崎大学医歯薬学総合研究科 医療情報学、3.長崎大学病院 メディカルサポートセンター、4.長崎大学病院 検査部、5.長崎大学病院 看護部、6.医療法人社団鉄祐会)

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【背景】地域医療情報ネットワーク(以下 地域ネット)は、補助金等の支援により、全国に普及したが、PHR(Personal Health Record)の地域医療普及例はほとんど無い。あじさいネットは、長崎県全域で利用される全国最大規模の地域ネットであるが、臨床診療で有効活用されるPHR構築を目指し、オンライン診療用スマートフォンアプリケーション(以下 アプリ)「YaDoc」を利用してPHR構築に取り組んだので報告する。 【経過】2020年、あじさいネットは、オンライン診療の普及を目指し、「YaDoc」を提供するインテグリティ・ヘルスケア社と提携し、安価なあじさいネット会員利用料設定に加え、両者のデータセンター間をIP-VPN接続し、あじさいネット端末あるいは地域拠点病院の電子カルテ端末からの「YaDoc」利用を実現し、利便性を向上させた。さらに「YaDoc」の症状やバイタル情報等の入力機能を利用し、対面診療時も利用することで、PHRとしての運用を開始した。 【運用実績】2022年6月時点の利用施設数は3病院6診療所、このうち大学病院では、21診療科が利用登録していた。登録患者数は2,549名で、このうち1,246名(48.1%)が症状等の入力枠が設定されていた。 【考察】フリーアクセス制のわが国では、複数医療機関受診が日常であるため。患者が自身の診療・健康情報を持つPHRは理想的である。しかし、健康管理アプリとして数多く提供されているが、日常臨床に定着したPHR利用例はほとんど無い。一方、オンライン診療は、2022年度診療報酬改定にて、対面診療同等に評価されたため、今後の普及が期待されるが、本取組は、オンライン診療アプリをPHRにも利用することで、日常診療で利用されるPHRとして発展する可能性を示唆するものである。