一般社団法人 日本医療情報学会

[3-P-6-03] 退院時看護サマリー確定割合データの抽出方法変更による効果

*坂東 委久代1、疋田 智子1、飯田 恵1 (1.京都大学医学部附属病院 看護部)

Nursing summary, data extraction method, visualization

【背景・目的】
 退院時看護サマリー(以下、サマリー)とは、入院中の看護を必要とする人の健康問題の経過や情報を要約したものであり、継続看護を行うために不可欠である。当院では2007年よりサマリー確定割合を毎月抽出し、現場にフィードバックしてきた。従来の抽出方法は電子カルテ上の「確定・未確定一覧」画面で退院未確定を選択し、対象外を除外して未確定数としていたが、表示期間があることや、以前のサマリー未確定も反映されてしまうため、現状を正確に表せていなかった。また月平均74.5人のカルテ確認作業が必要であり、業務負担となっていた。
 一方、A病棟から前年度のサマリー未確定状況の抽出依頼があったことから、2021年6月よりサマリー確定割合の抽出方法を見直すこととなった。本稿では抽出方法変更による効果を検証する。
【方法】
 対象期間は2020年4月~2022年3月、抽出方法は毎月8日、電子カルテより前月退院した全患者1入院毎の病棟名・退院日・サマリー確定日・死亡退院フラグ・次入院の有無を抽出した。 記述統計により病棟毎の①「7日以内確定件数」②「7日以内確定割合」③「8日以上確定件数」④「8日以上確定総所要日数」⑤「未確定件数」を作成し、現場にフィードバックした。
【結果・考察】
 新規抽出方法で2020年度と2021年度を比較した結果、改修工事による病棟移転やコロナ禍による病床再配置といった特殊な状況の中、病棟全体で②は81.0%から83.8%への増加にとどまったが、①は1286件増加し④は8277日短縮された。A病棟では⑤は2件増加となったが、システム上修正不可能なものであり、①は157件増加、②は10.4%増加し、④は1433日短縮された。8日以上確定総所要日数が大きく短縮したことや、下位の病棟の改善が目立ったことは、抽出方法を変更し病棟別確定状況を可視化したことによる効果が一因であったと考える。