Japan Association for Medical Informatics

[3-P-6-05] 介護老人保健施設における医療介護連携の現状と課題 - 施設内記録から見る職種別傾向 -

*Takashi Sato1, Takuya Sakata2, Muneo Kushima2, Sanae Araki4, Kenji Araki3 (1.宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科修士課程, 2.一般社団法人ヘルスケアシステム研究所, 3.宮崎大学医学部附属病院患者支援センター, 4.介護老人保健施設のべおか老健あたご)

Collaboration in medical treatment and nursing care, Community-based Integrated Care System, Medical and nursing care information cooperation system

【背景と目的】地域包括ケアシステムの構築が取り組まれ、医療と介護の連携が求められているなか、医療と介護一体型のシステム構築は大きな意味を持つと考えられる。しかし、現状は医療と介護で使われているシステムには大きな違いがあり、その記録内容・使用言語にも差が見られる。そこで、介護老人保健施設という医療と介護が共存する現場から、記録内容を精査しその傾向を考察することが、医療介護一体型システム構築に必要であると考え、本研究を行うこととした。【方法】ケース記録調査と、テキストマイニング分析を行った。 ケース記録は施設内で使用しているシステムより抽出した。TETDM及びKH Coderを用いて解析し、テキストマイニング及び言語の可視化を行った。分析対象は、老健に入所されている利用者139名(期間内退所者含む)に関する介護・看護・リハビリ職員のケース記録1年間分154,623件とした。介護職員による記録が145,608件、看護職員が8,630件、リハビリ職員が385件であった。【結果と考察】ケース記録調査により、内容に職種や記録者毎の傾向があると判明した。また、テキストマイニング分析及び、言語の可視化を行うことにより、各職種の使用言語の特性や繋がりに違いが見えてきた。看護とリハビリでは、計画・評価・連絡といった地域包括ケアシステムに重要な連携に関するワードが多くみられたが、介護の記録からは日常的ケアや状態確認といった記録が主であった。またその分布図の違いから、看護とリハビリは記録数は少ないが専門性が高いこと、介護は記録数は多いが定型文的な記録となっている構図が見られた。介護は活動やケア記録等セクション内に留まる傾向があり、看護とリハビリが連携における役割を担っていると考えられる。一体型システムの構築には、医療と介護の使用言語や記録方法の差異の検証や、統一化へ向けた検討が必要であると考える。