Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-02] 薬局・薬剤師が取り扱う情報の拡がり

*Daiki Watanabe1 (1. Japan Pharmaceutical Association)

Information, Medical Professionals Collaboration, Individualization

2019年の薬機法の改正により医療用医薬品の添付文書の電子化が開始された。薬剤師にとって医薬品を始めとした「物」の情報は欠かせない。専門家として医薬品を安全に扱うには、その「物」に纏わる最新で、正確な情報が必要となる。添付文書がいつでも最新のものを確認できるようになったのも、デジタル化の強みだろう。また正確性という面においては溢れかえる情報の中で、その真偽を見極めるリテラシーも必要になってくる。そして一方、進展する医療ICTの中で、薬局の業務に大きな変化をもたらそうとしているのが「人」の情報であると考える。既にオンライン資格確認等システムが稼働し始めており、薬剤情報や特定健診等情報を確認できるようになっている。そしてこの基盤を活用して、来年1月には電子処方箋の運用が始まろうとしている。このほぼ全ての薬局を網羅し得る基盤において取り扱う情報は、患者個人の医療情報である。これらの個人に紐づく保健医療情報は更に拡充されていくことが予定されており、マイナポータルとの連携や電子版お薬手帳との連携により活用されていく。これらは患者が有するスマートフォン等のデバイスの中で扱われていくことになるが、社会全体のデジタル化の中では保健医療情報以外にも個人が使用するウェアラブルデバイスや健康アプリを活用して自身の状態を提示されるケースも多くなることだろう。多くの患者情報をもとにした薬剤師の判断が、患者への指導の質を高めていくことになる。そして治療用アプリとしてのデジタルメディスンについても日本の市場で申請、承認がなされてくるだろう。これらの更なる普及においては、使用患者に対して薬剤師がフォローアップした上で医師と連携する必要があると考える。
 これらの医療ICTが急速に進展する状況下において、今回のシンポジウムでの機会が、今後、薬局で取り扱っていく情報について考える一助となれば幸いに思う。