Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-03] 添付文書の電子化で精神科病院に起こった変化

*Rina Kuzuba1 (1. Sapporo Hanazono Hospital)

electronic package inserts, Drug Information, pharmacists

当院、札幌花園病院は札幌市中央区の精神科病院である。最近では統合失調症、抑うつ状態の患者の他に、複数の医療機関に通院している高齢患者の入院が多く、当院で採用がない医薬品を持参する頻度が増えている。薬剤師は持参薬も採用医薬品と同様に情報収集を行い、収集した情報を加工・発信することを求められている。
薬機法改正(2021年8月1日施行)により医療用医薬品の添付文書は、電子化されている添付文書を閲覧する方法へと移行することになった。それまで当院では情報源として電子カルテ内の薬剤情報検索システム、書籍、紙の添付文書を利用していた。しかし薬剤情報検索システムの情報更新は数か月ごと、紙の添付文書は集めたとしても更新日時や内容が不明で、常に最新の情報へ更新できていない状態だった。
今回の改正によって、DI業務に不慣れな薬剤師でも電子添文の他、関連文書へのアクセスが容易となった。問い合わせに対して電子添文から図やグラフを収集し利用しやすくなったため、相手の理解度に合わせた回答の作成が可能になった。日常業務ではインターネットに接続したPCからアクセスが主となっているのだが、便利になった一方で課題がある。
インターネットに接続したPCと距離がある者にとっては、紙の添付文書が消えたため情報収集の対象が変わり、十分な情報を収集できていない可能性が存在している。進歩するツールを有効に活用するためには、それを利用するための教育や環境整備が必須である。加えて、情報を敢えて最新の情報を紙媒体へ印刷し配置するなどの方法で、医療スタッフ全員が最新の情報を共有するために最適な方法も検討している。決して当院は高度なことをできないが、情報資源を有効活用することで組織の業務発展に繋げていきたいと考える。