一般社団法人 日本医療情報学会

[4-A-1-04] 病院薬剤師(医薬品情報室担当者)からみた添付文書の電子化への期待

*佐藤 弘康1 (1. JA北海道厚生連 帯広厚生病院)

Package Insert, GS1 Data Bar, Digital Transformation

薬機法改正にともない2021年8月より添付文書の電子化が施行され、これまで医薬品の個装箱等に同梱されてきた紙の添付文書が廃止され、個装箱に表示されているバーコードをアプリ(「添文ナビ」)で読み取り、PMDAのホームページ上にある最新の電子化された添付文書(電子添文)を閲覧する仕組みとなった。
 しかしながら、大規模病院においては、電子カルテやインターネット環境などのインフラが整備されていることが多く、薬機法改正以前においても医薬品の個装箱に同梱されている添付文書を確認する機会はほぼ存在しなかった。そのため、紙の添付文書の同梱が廃止された現在においても添文ナビによる代替手段は急務ではなく、特段、業務上の不都合は生じていない。
 一方で、添付文書の電子化においては、上述の個装箱のバーコードから添付文書を閲覧する方式に変更となったことに加え、いくつかの注目すべき革新的要素・機能も見られる。これらは、臨床薬剤師の視点からも今後の活用が期待できるものである。まず、添文ナビによるリダイレクトの仕組みとして、URLの末尾の変更により、医療従事者向けの情報源だけでなく、患者向け情報へのアクセスが可能となっている点が挙げられる。また、添付文書はPDFファイルだけでなく2024年までにXML形式での公表も求められており、今後の臨床での活用が期待される。現時点でのXML形式の添付文書の公表割合は高くなく、早期の普及が望まれる。また、これらの機能を上手く臨床活用するために、要望したい機能改善点もあり、合わせて紹介する。
 添付文書の電子化は、1stステージが始まったばかりであるが、今後、より実用性の高い仕組み・運用となるよう、臨床現場の要望も取り入れていただきながら深化していくことを望む。