Japan Association for Medical Informatics

[4-A-3-03] 薬剤領域の医療DXに向けて

*Kazuyuki Ikeda1 (1. Nara Medical University Hospital)

  令和4年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針2022」(いわゆる骨太の方針)が閣議決定された。この中では我が国を取り巻く環境の変化から、これら課題の解決に向けた取組を今後の成長戦略に位置づけるべく新しい資本主義を提言している。この骨太の方針では、持続可能な社会保障制度の構築のため社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進を行うため、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」及び「診療報酬改定DX」などの取組を進め、政府に総理を本部長とした「医療DX推進本部(仮称)」を設置するとされている。
  一方、薬剤関連の医療DXとしては、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の「とりまとめ」~薬剤師が地域で活躍するためのアクションプランにおいて、薬局薬剤師DXとして、デジタルに係る知識・技術の習得、薬局薬剤師DXに向けた活用事例の共有などが示されている。また、薬剤調製業務の委託や宅配BOX・ドローンなどを利用した調剤薬の配送などの議論も行われている。
  このように社会が変化するの中、電子処方箋をはじめとした薬剤領域の変化は着実に広がっている。従来から処方箋をFAXにより病院から保険調剤薬局に送信していたことなどを考えると、それぞれの変化は必ずしも大きなものとは言えない。しかし、これら変化が1つにつながることで社会に大きなインパクトをもたらす医療DXが実現すると考える。これからのデジタル社会で労働人口が減少する中、効率的な医療の提供には医療DXは不可欠である。この電子処方箋をその第一歩としてとらえ、患者個々の状況に応じた医療・介護・健康管理が行えるよう務めるべきである。