Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-01] 市民の立場から考える電子カルテ改革への期待と不安

*Megumi Hori1 (1. Registered member of COML's personnel bank for various medical-related meetings of government ministries and medical institutions)

医療の ICT 化が、ここ数年の間に急速に進んでいる。オンライン診療をはじめ、端末機器を利用したモバイルヘルスやウエアラブルという言葉が、少しずつ生活の中でも使われるようになってきた。医療の ICT 化は、市民にとって診察や治療だけでなく、健康や自己管理への意識変革をもたらしつつあると思う。 特に今後電子カルテが標準化され、医療機関のみならず患者にも情報が共有可能になった場合、患者にとっては様々なメリットが期待される。1点目は病院および診療所間で、電子カルテに互換性を持たせることが出来れば、入退院時や患者紹介時において互いに診療情報を連携・共有できるようになり、患者にとっては検査の重複がなくなり、経済的な負担が軽減できる。2点目は、災害時や救急搬送時、旅行先などでも正確に普段の診療情報を医療機関に提供できるという安心感を持つことが出来る。3点目は生まれてから死ぬまでの自分のヘルスデータを管理できるようになることで、健康を維持するための手段や方法を見つけやすくなり、セルフメディケーションの意識が高まることが期待される。また認知症や意識障害など様々な原因によって今後記憶が消失した場合でも、正確に自分の医療情報を医療機関に伝えることができ、安心して治療を受けることが可能になる。4点目は、創薬の研究開発における情報の利活用などが挙げられる。
しかしその反面、急速に移行していく医療の ICT 化の流れの中で、電子カルテに対しては今後不安も感じている。1点目は通信障害時や大規模な災害時における停電時の対応。2点目は EHR がどのように管理され活用されていくのかが不透明であること。3点目は医療知識がない一般市民でも、医療情報のデータ解読が簡単にできるかどうかの不安がある。
こうした不安も含め、一般市民が電子カルテに対し、今後どうしたら自分事として認識を深めることができるのかが課題と考える。