[4-B-1-05] 電子カルテ診療情報二次利用の現状と次世代医療情報システムへの期待 〜循環器診療情報を収集するCLIDASデータベース〜
Hospital Information System, Cardiovascular Disease, Prognosis
心血管疾患、脳卒中を含む循環器疾患は、日本人の生活の質を損ねる重大な疾患領域である。日本循環器学会は「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に対応した脳卒中と循環器病克服第一次、第二次5ヵ年計画において、登録事業の促進を5戦略の一つに位置付けている。循環器疾患領域特異的に発展した心電図、心臓超音波検査や心臓カテーテル検査・冠動脈インターベンション治療(PCI)の診療データが電子カルテシステムに保管されているが、これらのデータの標準化はされておらず、登録型臨床研究への二次利用は進んでいなかった。 我々は、2015年より日本循環器学会臨床効果データベース事業、および内閣府革新的研究開発推進プログラムImPACTの支援を受け、循環器検査の学会標準データ形式Standard Export datA forMAT(SEAMAT)を策定し公開してきた。その基盤に基づき、電子カルテにおける患者基本情報、処方、検体検査データをSS-MIX2標準ストレージから、また、生理検査や心臓カテーテル検査・PCIのSEAMAT形式データをSS-MIX2拡張ストレージから電子的に収集し、臨床アウトカムデータと結合した多施設データベースをClinical Deep Data Accumulation System(CLIDAS)研究として展開してきた。 本発表ではCLIDASデータベースにおける2013 – 2019年にPCI治療を受けた約10,000例の患者の診療実態と臨床予後規定因子の分析を紹介し、電子カルテ診療情報の二次利用に基づく臨床研究の現状と課題、さらに次世代の医療情報システムへの期待について議論したい。