Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-06] Direction of Electronic Medical Record Reform Based on Actual Voices from the Medical Field

*Shinsuke Muto1 (1. Tetsuyu Institute Medical Corporation)

  電子カルテ改革が必要なことは論を待たない。2022年6月に閣議決定された「骨太方針2022」でも医療のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が掲げられている。実際にDXを実現するために、デジタイゼーションとデジタライゼーションの2つの工程を経る必要がある。デジタイゼーションは、デジタルを取り入れて、業務の効率化を図っていくことを目標とする。医療の世界で当てはめると電子カルテの導入はデジタイゼーションの典型例である。デジタライゼーションは、デジタイゼーションで行った電子化の基盤をもとに、デジタル技術の活用によって、新しい付加価値をユーザーに提供することである。オンライン診療や電子カルテとパーソナルヘルスレコード(PHR)の連携などが一例である。
  しかし、実際はどうだろうか。電子カルテの普及は未だクリニックでは十分に進んでいない。それに合わせて課題なのは、電子カルテのユーザーが主に医師、看護師、薬剤師等に限られ、それ以外の職種には広がっていないために地域医療において電子カルテを基点としたデジタイゼーションが進んでいないことである。最近では、デジタルを用いた地域情報連携やオンライン診療、オンライン服薬指導も広がりつつあるが、相互連携や電子カルテとの連携も十分に実現できていない。従って、業務の効率化や新しい付加価値の創造にまで到達できず、むしろ現場の負担を増加しているのが現状である。
  このセッションでは歯科医、助産師、理学療法士を含め医療にかかわるほとんどの職種からヒアリングした医療現場におけるデジタル利用の現状、利便性、そして課題について共有したい。そこから見えてくるのは、職種間・地域間の大きな格差である。またあるべき姿をどう実現していくのかの示唆である。現場の意見を丁寧に分析してこそあるべき電子カルテ改革の姿が見え、そして実現するための戦略が見えてくるであろう。