一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-2] ePathにおける取組みと普及に向けた展望

*山下 貴範1、中熊 英貴2、嶋田 元3、松本 崇志4、野原 康伸5、中島 直樹1、副島 秀久2 (1. 九州大学病院、2. 済生会熊本病院、3. 聖路加国際病院、4. 株式会社ソフトウェア・サービス、5. 熊本大学)

Clinical pathway, Leaning Health System, OAT unit, Standardization

クリニカルパス(以下、パス)は、1990年代に日本に導入され現在では約2000病院が運用している。紙パスから電子化も普及したが、電子カルテベンダー間での電子パスの標準化が進んでいなかったため、2015年に日本医療情報学会と日本クリニカルパス学会の合同委員会を立ち上げ、パス標準データモデルの検討を開始した。そして、2018年度〜2020年度のAMED事業クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用:代表 副島秀久」(以下、ePath)では、アウトカム志向型パスと日本クリニカルパス学会のBasic Outcome Master(HELICS標準)を利用し、診療の基本単位としてOATユニット(Outcome, Assessment, Task)を定義した。OATユニットからなる8つの標準パスを開発し、電子カルテベンダの異なる4施設の実証病院で運用した。さらに、標準仕様で出力するインターフェイスとリポジトリを実装し、各施設のリポジトリ内から収集したデータの解析結果からパス改訂によるLearning Health System(以下、LHS)を実施した。
 ePathはAMED研究終了後の活用と展開を考慮して、事業を進めてきた。現在もePath基盤を活用した各パスの統合解析とパス改訂によるLHSを継続している。ePathリポジトリは日本医療情報学会標準に策定され、今後も各団体の標準化を目標としている。さらに、他の研究プロジェクトとの連携を開始し、それぞれの研究テーマに対応するePath基盤の利活用を企画している。このように、ePath普及に向けて検討する段階となっている。
 本企画では、ePathの導入経験や統合解析事例、現在の活動内容を報告し、両学会とベンダーの立場からの意見も交え、今後のePathの展開と普及に向けたテーマで議論を行う。