一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-2-01] ePathの成果と現在の活動について

*山下 貴範1 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)

ePathは2018年度までのAMED研究にて「ひな型パス、ePath用の電子カルテデータ・DPCデータを標準仕様で出力するインターフェイスとリポジトリ、各施設のリポジトリ内のデータを集約するePath解析基盤」を開発・実装した。さらに、多施設間の統合解析の結果から、医療の質改善を目的とした医療行為を抽出し、パス改訂によるLearning Health System(以下、LHS)の実践を成果として残した。
 AMED研究は終了したが、診療プロセス改善のためにePath基盤を活用した各パスの多施設型LHSを継続している。また今後の普及ために、ePathリポジトリの「ePathのデータ要素と構造に関する仕様書(Ver.1.0.1)」を策定し、日本医療情報学会標準へ申請し認定された。厚生労働省標準も目指している。さらにJAHISと連携し、各ベンダーが電子カルテへ実装する際に具体的なイメージを把握でき、医療者の負担を増やさず効率的に標準形式のデータを出力できることを目的として、実装ガイドの作成に着手した。
 2021年度からは、厚労科研・中島直樹班「標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究」と連携を開始した。医師を中心とした臨床業務負担軽減を目的として、医療職の関連業務をICTとePath基盤を用いたデータ解析とLHSから、医療の質を落とさずに業務を削減、または医療職種間でのタスクシフト/シェアを検討していく。2022年度のAMED研究・戸高浩司班「標準化電子ワークートを核とした分散型臨床試験のシステム・運用両面からの構築」では、電子カルテシステム上での分散型臨床試験の実証を目的として、ePath機能を用いる計画である。
 ePathは次のフェーズへ移行しており、医療分野で幅広く貢献できる標準的基盤に向けて進展している。