[4-B-2-02] ePath導入に向けた現場での教育や啓発、運用の工夫とデータマネジメントについて
【はじめに】 2018年10月に開始したAMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」(以下ePath)では標準パスシステムの開発、標準データリポジトリおよび可視化/解析基盤の構築を行った。導入現場で行ったことや工夫したこと、データマネジメントについて報告する。 【方法】 導入現場では、4施設で作成したひな型パスによるアウトカムや観察項目の設定や考え方の周知、また、アウトカム評価回数の変更など運用の調整に時間を要した。ePathを機にパスの内容や運用、記録の書き方など見直す施設も存在した。データを蓄積し、統合可視化/解析するためには、大変重要なプロセスである。 プロマネでは、4施設4ベンダーのデータを扱ったため、1カラム1カラム、丁寧にデータの意味を各施設の担当者やベンダーと格納方法について検討し、定義付けた。例えば、OAT Unit識別子ではアウトカムが評価されたタイミング、また、日付が変わるタイミングでコード付与することとした。 【考察および課題】 原則として、標準マスタを使用することとしたが、薬剤の医薬品HOTコードや検体検査のマスタのJLAC10などは、あまり普及していない。さらに、可視化/解析の結果に偏りを生じる原因として、そもそも運用が異なるなど、不十分な標準化が挙げられる。例えば、アウトカムの評価回数はA施設では1日の5回だったが、B施設では1日に3回、C施設では1日1回とバラツキがあった。いずれも、可視化や解析を行った際、データ数の差が影響し、本来、重要度が高いと思われる因子が表に出ない原因となる。ePathで構築したデータはリアルワールドデータそのものであり、そのデータを可視化/解析によって医療の質向上に寄与するためには、現場でのスタッフ教育や啓発、運用の工夫が重要であり、さらに、プロマネでの厳密なデータ定義や担当者やベンダーとの密な情報共有、標準マスタの活用の把握など複合的なデータマネジメントが求められる。