[4-B-2-03] クリニカルパス学会からみたePathのメリットと今後の展望・期待
これまでのパス医療は患者背景、医療提供体制、各施設の強みや弱みをもとに施設内最適化されており、パス委員会の涙ぐましい努力により支えられてきた。特にアウトカム収集とバリアンス分析は毎年のアンケート調査でも課題となっている。 ePathは2018年~2020年のAMED事業を通じ、ひな形パスの作成・公開、異なるベンダー・医療機関からパス標準データレポジトリを通じたデータの中央集積と簡易分析ツール、中央分析による施設間ベンチマークなどこれまでに多くの成果を示してきた。 特にアウトカムに寄与しないアセスメントやタスクを特定できたことはとりわけ大きな成果といえる。一般に単一施設内でのアウトカム評価は一般化できるほどの症例数がないことがほとんどである。多施設を統合したアウトカム評価が行えたこと、さらにアウトカムに寄与しない可能性が高いアセスメント、タスクを特定しえたことは特筆に値し、施設内パス活動だけでは見出しにくい成果である。一方で、ePathに収集されたデータはこれまでパス活動を積極的にリードしてきた4施設8種類に限られている。この少数データセットであってもアウトカム・アセスメント・タスクユニットであるOAT Unitの設定やバリアンスの発生頻度に違いが認められた。 各施設の医療提供体制や文化を含んだパスデータがePathにどのような影響を及ぼすかは未知数であり、新たな成果が期待されるところでもある。加えて集積データの活用法には引き続き議論が必要である。中央による定形分析、参加施設の要望に応じた非定型分析、参加施設限定でのデータ公開、オープンデータ化などがあるが、それぞれ利点欠点がある。 クリニカルパス学会にePath部会が発足し、多様な施設の参入、普及を見込んでいる。これらの成果や課題を医療情報学会と共有しながら検討を進めてゆく予定である。