Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-04] 電子カルテベンダーの立場からみたePathの意義と今後の展望

*Takashi Matsumoto1 (1. Software Service Inc.)

ePathは2018年度~2020年度の3年に渡り、日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業として実施された。実証参加施設として4施設と、それぞれの施設の電子カルテシステムを提供するベンダー4社(当社含む)が参加した。ePathでのベンダーとしての取り組みを紹介するとともに、ベンダーの立場からePathの意義や今後の展望について考察する。
 異なるベンダー間で共通パスを運用しデータ収集して統合解析を行うためには、電子パス自体の機能の差異が問題となる。そのため、まず電子パス機能の比較、すり合わせを行った上で共通仕様の定義を行った。OATユニットをはじめとする電子パスの構造、機能を定義し、それに対応するシステム構築を行った。またデータ出力の共通仕様(ePathメッセージ)を策定し、リポジトリへ出力する仕組みを構築した。
 当社ではePathでの活動を経て開発した電子パス機能の中から、アウトカム未達成時のバリアンステンプレート記録機能などを当社パスシステムへ標準搭載するようにし、ユーザー病院へ提供できるようにした。リポジトリへのデータ出力の仕様(ePathのデータ要素と構造に関する仕様書)はその後日本医療情報学会標準として認定された。また今後保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)で実装ガイドの策定も行われる予定である。今後ePath仕様のシステムへの採用が進むことで、ePathの基盤を活用した新たなサービスの開発も可能になり、各医療機関も恩恵が受けられるようになると考える。