[4-B-2-05] ePATH基盤を用いた臨床業務負担軽減に向けたデータ分析の取り組み
クリニカルパスの分析において、治療の成否を左右するような重要なアウトカム(クリニカル・インディケーター)が何であるかは従来から大きな関心事項であった。一方、医療現場における働き方改革が昨今求められている中で、臨床業務の削減が課題となってきている。単純な業務削減では、医療の質低下を招く危険性がある。データ分析の結果に基づき必要な業務を確実に把握しながら、重要度の低い業務の削減や移管といった業務改善を実施し、その効果を確認する一連の流れの中で、ePATH基盤の活用が期待される。 重要度の低い業務抽出のため、1)目的変数を決めて、GBDT等の機械学習アルゴリズムを用いて予測モデルを作り、2)作成した予測モデルに対して、Shapley Additive Explanation (SHAP)などを用いて、どの説明変数が予測にどの程度寄与したかを調べるという点は、従来の重要因子を抽出する場合と共通する。ただ、重要因子の抽出では、その因子がある1つの目的変数の予測にだけでも有用なことを示せればよいのに対して、重要度の低い業務抽出には、様々な目的変数の予測に対し有用でないことを示す必要がある。また、稀にしか発生しない合併症のデータを収集できない場合があるが、当該症例が死亡等の深刻な影響を及ぼす場合であっても、予測モデルでは考慮されず、当該症例を発見するための検査の重要度がゼロと評価されてしまう問題がある。更に、重要度が低いとされた業務には、そもそも目的変数と関連が少ないものの他に、他の検査等で代替できる場合があり、その仕分けも重要となる。 以上のような臨床業務負担軽減に向けたデータ分析の課題に対して、複数の目的変数をどのように設定するか、解析結果をどのように整理するか、結果を臨床現場へどのように説明するのかといった取り組みを紹介する。