一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-2-01] ICD-11の国内適用に向けた現状と課題について

*渡 三佳1、榊原 崇広1、藤巻 早紀1、大坪 郁乃1、稲葉 朋子1、中山 佳保里1、吉本 雅世1 (1. 厚生労働省)

ICD-11, WHO, Implementation of ICD-11

日本では、WHOが策定するICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)に準拠して「疾病、傷害及び死因の統計分類」を統計法に基づく統計基準として告示し、公的統計に利用している。ICDの最新版となる第11回改訂版(ICD-11)は、世界保健総会が2019年5月に採択し、2022年1月に発効された。2022年6月に開催された「疾病、傷害及び死因分類部会」では、ICD-11の国内適用に向けた検討事項として、①ICD-11の死亡・疾病統計用分類(MMS)に新たな概念として追加された章(「伝統医学」、「生活機能評価」、「エクステンションコード」)の統計基準における取り扱い、②Foundationの和訳範囲、③疾病分類表及び死因分類表の作成の3点が挙げられた。③については、ICD-11の死亡製表用リストおよび疾病製表用リストのWHOによる公表を待ち、当該リストの検証後、日本の死因分類表、疾病分類表についての作成方針を定める予定である。また、現在、日本医学会、日本歯科医学会と連携の下、関係学会の協力を得て和訳作業を行っているが、MMS上のChapter、Block、Category以外のFoundation内に収載される用語についても基本的に和訳作業を進めており、広く利用が可能な形での公表を行う方向で検討をしている。ICD-10に準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」は公的統計での使用に留まらず診療録管理等に広く活用されており、ICD-11では臨床現場や研究などのさらに様々な場面での活用が可能となっているところ、今後の活用を円滑にする基盤ともなりうる「疾病、傷害及び死因の統計分類」の改訂に向けて作業を進めている。