一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-2-05] 疾患統計におけるICD-11 V章の活用手法の検討

*向野 雅彦1、小松 雅代2 (1. 北海道大学病院、2. 大阪大学)

ICD-11, Chapter V, functioning, rehabilitation

【背景と目的】ICD-11においては、新たに生活機能評価に関する補助セクションであるV章が新設された。このV章はICD-11の本体と組み合わせて使用することで、疾患の重症度や疾患の生活へのインパクトを表現することができる。本研究では、ICD-11V章を実際にICD-11の本体コードと組み合わせて臨床で使用する手法についての検討を行った。 【方法】ICD-11V章はWHOの生活機能評価の質問紙であるWHODAS2.0とICFの抜粋版である"一般的機能の構成要素"の主に二つの項目群からなる。本研究では一般的機能の構成要素の項目群を用いたフィールドテスト(n=1102)のデータを用い、少数の抜粋した項目を用いて疾患別、年齢層別の重症度を比較した。また、生活機能プロファイルの特徴の違いについても検討を行った。 【結果】疾患別、年齢別にみると患者の脳血管疾患、高年齢の患者で重症度が重い傾向がみられた。生活機能プロファイルは認知機能に関わる項目を中心に疾患によって異なったパターンがみられる一方、高年齢では全般的に重症度が重くなる傾向が得られた。 【考察】ICD11V章を用いることで、疾患の重症度や生活機能における問題のパターンについて評価することが可能であった。疾病統計に生活機能に関する情報を加えることで、疾病が社会に与える影響をより深く理解する手助けとなる可能性がある。