一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-2-07] ICD-11の用語集としての活用と国内用語集との整合性担保に向けた課題

*今井 健1 (1. 東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター)

ICD11, Standard Disease Name Master, Clinical Terminology

2018年にWHOによりリリースされた疾病及び関連保健問題の国際統計分類(以下ICD)の第11版改訂であるICD-11では多くの機能が導入された。中でも大きな特徴として、予め多くの用語を含める方針であること、並びにそれらを組み合わせたPost-Coordinationによる詳細な概念の表現機構を備えていることが挙げられる。これにより主要な章における疾患概念用語と拡張用コード(X章)に含まれる約2万の修飾語セットと組み合わせることで多様な臨床病態記載のための用語集としての性質を帯びてきている。
HL7-FHIRの国内導入に向けての規格策定も進む中、今後ICD-11の国内導入に向けては用語集としての側面から見たICD-11の利活用の推進と、これまで国内で用いられてきた用語集との整合性担保が重要な課題である。
これまで著者らは厚生労働科学研究班の枠組みにおいて、病名についてはICD-10対応標準病名マスター中の標準病名とICD-11との対応づけを、Post-Coordinationの仕組みも援用しFoundationレベル・MMSレベルの2種類で進めてきた。また病名以外では例えばX章から身体部位用語について和訳を完了し、国内で用いられている各種身体部位関連リソースとの対応関係の整備を行ってきた。それらの作業を通じ、現状のPost-Coordinationの仕組みの限界や対応づけを行うことができる粒度の問題、目的に応じた様々なICD-11コーディングを整備する必要性、既存の国内用語集の見直しの必要性など、様々な課題が明らかになってきている。
本発表では、このような用語集として見たICD-11と国内の関連用語集との整合性担保の取り組みに関する進捗、並びに課題点について報告する。