Japan Association for Medical Informatics

[4-D-1-04] 画像診断報告書の既読管理について

*Masatoshi Harase1 (1. Toyohashi Municipal Hospital)

厚生労働省は2019年12月11日,事務連絡「画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組について」を都道府県等に発出した.緊急度の高い所見や重要所見に対して必要な対応を取るためには,組織的な伝達・確認体制の構築を求めている.具体的には,「診断結果の説明を担当する医師が重要所見を認知しやすくするための通知方法の工夫や,画像診断報告書の未読・既読の管理,その後適切に対応されたかを組織的に確認できる仕組みが構築されることが望ましい」とされている.
 また,令和4年度診療報酬改定では,画像診断報告書の確認漏れによる診断又は治療開始の遅延を防止する取組が,新たな診療報酬の評価に加わった.算定要件として,医療安全対策に係る研修を受けた専任の診療放射線技師等を報告書確認管理者として配置することにくわえ,報告書確認管理者,画像診断を担当する医師,医療安全管理部門の医師等から構成される報告書確認対策チームの設置など,組織的な体制整備が求められている.
 当院では,2019年より医療安全管理室と医療情報部門で連携を図り,画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の検討を行い,同年10月よりPACSの機能強化により,オーダ医が既読宣言を行う既読管理をスタートさせた.その後,既読管理機能による既読宣言は形骸化され,既読後,適切な対応が行われていない事例が発生した.そのため,既読宣言の管理だけではなく,既読後の対応が適切であったかチェックする対応が必要となった.当院では,全症例の既読チェックを行うことは難しいため,DWHシステムによる重要所見患者の抽出を行い,報告書確認管理者が電子カルテシステムにて既読後の状況を確認し,適切な対応が行われているかの判断を行っている.
 今後,画像診断報告書管理を安全に且つ効率的に実施するため,議論を深めたいと考える.