[4-D-2-01] HL7 FHIRの国内普及に向けたJP Coreの検討状況と今後のユースケースの位置付けについて
新しい医療情報交換の標準規格としてHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources、以下、FHIR)の普及が世界的に進められている。我が国でもFHIRの日本版標準仕様であるJP Core実装ガイドのDraft Ver.1が2021年12月に公開された他、2022年3月には、「処方情報」「健康診断結果」「診療情報提供書」「退院時サマリー」の1情報3文書のFHIR記述仕様が厚生労働省標準になるなど、仕様の整備が進んでいる。また、2022年度診療報酬改定の個別改訂項目において、診療録管理体制加算の施設基準にFHIRの導入状況の報告を求められることが規定されたことや、2022年5月に自由民主党政務調査会が発表した「医療DX令和ビジョン2030」では、2030年までに電子カルテの普及率を100%にする目標とともに、FHIR準拠の標準的電子カルテの開発を進める案が公表されるなど、政策的にも急速に状況が進展している。しかしながら、現時点でHL7 FHIRを現場にするには複数の大きな壁がある。例えば、1)ユースケースごとのFHIRリソースの仕様を表現する「FHIRプロファイル」、2)FHIRデータを管理するための「FHIRサーバ」、3)既存の電子カルテ等のデータをFHIR形式に変換するための「FHIRアダプター」、が必要になることである。本演題ではこれらの課題に対しての我が国の取り組みの現状を整理した上で、それらを踏まえ今後FHIRを導入するユースケースにおいてどのような進め方が望ましいか、位置付けも含めて概説する。また、将来的にFHIRが我が国で普及していくにあたり、具体的なユースケースの事例と合わせてユーザ側・医療情報管理者・病院管理者側に求められる考え方についても整理したい。