一般社団法人 日本医療情報学会

[4-D-2-03] FHIRとUMLを活用したワークフローの定義手法の検討

*木村 映善1 (1. 愛媛大学)

FHIR, UML, Workflow, EMR

FHIRはシステム間で医療情報を交換する際に相互運用性を確保するための標準医療情報規格であり、大別して臨床情報のリソースとインフラストラクチャ(以下、インフラ)のリソースが定義されている。本邦では退院サマリー、処方情報、健診結果等の文書の形態を取る健康医療情報とそれを構成するリソースのプロファイルについての議論が活発に行われているところであるが、医療情報を診療の現場でどのように交換するかの動的な部分についての議論は未だ少ない。
 クラウドベースの電子カルテシステムを新規に開発する案件があり、その中で代行入力を含オーダ入力、オーダ応答、結果の提示、承認といった業務の流れに即してFHIRリソースの変化を定義する必要性に迫られた。また、他の部門システムとの連携においてもワークフローレベルの相互運用性の担保を目指すためにもFHIRのワークフローのフレームワークを用いて標準化することが望ましいと思われた。
 ワークフローの検討ではUMLのシーケンス図を用いたクラスとメッセージの関係性の記述が多用される。本取り組みではアーキテクトチームとのやり取りにおいて、シーケンス図の左側に医療従事者のアクター、クラスの部分にはFHIRリソースを配置し、医療従事者の振るまいに応じて複数のFHIRリソース間が変化していく様子を記述した。このシーケンス図を元に各リソースの属性とワークフローの遷移状態を管理するTaskリソースの対応を記述するマトリクスを作成し、状態遷移の属性としてstatus、statusReason、businessStatusの整理を行った。
 FHIRのワークフローのフレームワークを利用する利点として、UMLのシーケンス図から実際のシステムでのデータの遷移について、事前に状態遷移に関する属性、用語が定義されていたこともあり、アーキテクトチームと齟齬のない意思疎通ができ、効率的な開発に貢献したと思われる。